知っておきたいドローンの規制【電波法】
日本ではドローンの飛行に関する規制があり、違反すると処罰の対象となることもあります。
今回はドローンの飛行の際に必ず利用する電波の規制について説明します。
電波法による規制
ドローンは操縦や搭載したカメラの映像を伝送するためにほとんどの場合で電波を利用しています。
(目的)
第一条 この法律は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
一 「電波」とは、三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう。
二 「無線電信」とは、電波を利用して、符号を送り、又は受けるための通信設備をいう。
三 「無線電話」とは、電波を利用して、音声その他の音響を送り、又は受けるための通信設備をいう。
四 「無線設備」とは、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう。
五 「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。
六 「無線従事者」とは、無線設備の操作又はその監督を行う者であつて、総務大臣の免許を受けたものをいう。この法律は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。
日本では無線設備を利用するためには電波法の規定に従う必要があり、電波を発する無線設備を使用するためには、
原則として無線局開局の免許が必要です。
ドローンで使用する電波と無線局免許
ドローンではほとんどの場合で何かしらの電波を利用して飛行させています。
その際によく使われる無線設備の周波数帯は以下の通りです。
・免許及び登録を要しない無線局
無線局免許 | 周波数帯 | 送信出力 | 無線従事者資格 |
---|---|---|---|
不要 | 73MHz帯等 | 500メートルの距離での電界強度が200μV/m以下のもの | 不要 |
不要※ | 920MHz帯 | 20mW | |
不要※ | 2.4GHz帯 | 10mW/MHz |
※ 技術基準適合証明等を受けた適合表示無線設備であることが必要
・携帯局、陸上移動局
無線局免許 | 周波数帯 | 送信出力 | 無線従事者資格 |
---|---|---|---|
要 | 1.2GHz帯 | 最大1W | 第3級陸上特殊無線技士以上の資格 |
169MHz帯 | 10mW | ||
2.4GHz帯 | 最大1W | ||
5.7GHz | 最大1W |
日本で無線設備を利用するためには、無線局開設の免許を受けなければなりませんが、
表の中の73MHz帯や技術基準適合証明(技適)を受けた920MHz帯や2.4GHz帯の無線設備であれば無線局の免許・登録は必要はありません。
しかし、それ以外の表中の無線局免許の列が「要」の無線設備を使用する場合では無線局の免許・登録が必要です。
技術基準適合証明
技術基準適合証明(ぎじゅつきじゅんてきごうしょうめい)とは、特定無線設備(小規模な無線局に使用するための無線設備)が電波法令の技術基準に適合していることを証明(電波法第38条の2)することである
出典: ja.wikipedia.org
空中線電力が1W以下であり、特定の用途で技術基準が定められた無線設備で、技適を受けた無線局は免許・登録を受ける必要はありません。
なお、技適を受けた物には技適マークが付けられています。
技適マーク
日本国内で販売されているDJIなどのドローンではほとんどの場合、技適マークが付いているため無線局の免許・登録が無くても飛行させることができます。
また、総務省の電波利用ホームページでは技適を受けた機器の検索を行うことができます。
5GHz帯は開局が必須
レース用のドローンのFPVなどで5GHz帯の周波数を使う場合はそれぞれの周波数に対応した資格と無線局の免許・登録が必要になります。
周波数帯と必要になる資格は以下の通りです。
周波数 | 利用用途 | 必要となる資格 |
5.7GHZ帯 | 産業用映像伝送など | 第3級陸上特殊無線技士 |
5.8GHz帯 | レース用FPVなど | 第4級アマチュア無線技士 |
なお、5.8GHz帯についてはアマチュア無線のため業務目的で利用することはできません。
アマチュア無線とは、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な興味により行う自己訓練、通信及び技術研究のための無線通信です。そのため、アマチュア無線を使用したドローンを業務に利用することはできません。
電波法違反となるケース
無線局の免許・登録が必要な周波数帯、出力を持つ無線設備を無許可で使用した場合は電波法違反となります。
また、不要な周波数帯であっても技適を受けてない機器を使用した場合は電波法違反となると考えて間違いありません。
ネット通販などで販売されている一部の海外商品では技適を受けていない物も多くみられますので購入時は注意が必要です。
DJIなどのメジャーな商品でも日本向け以外の商品では技適マークはついていないことがあります。
例えば海外の旅行先で購入した技適マークの表示がないドローンを日本へ持ち帰ってそのまま飛行させた場合は電波法違反となってしまいます。
なお、技適受けた商品でも、改造した場合は新たに技適マークの申請をしなくてはいけません。
また部品の変更等を行なわず、ただ分解して戻した場合でも改造にあたると判断されるようです。
電波法に違反したら
1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる可能性があります。
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